2011年、スティーブ ジョブスが亡くなった際、彼の葬式は、ヒンドゥー教に大きく影響を受けたものだった。
彼の生み出す商品やサービスは、説明するまでもなく、現代の社会に大きな影響を及ぼしたが、彼が信奉するヒンドゥー教の教えを体現するようなサービスを生み出し、多くの人が当たり前に利用しているサービスがあるのをご存じだろうか。
一般的にヒンドゥー教とは
“ヒンドゥーの根本には輪廻転生の思想があり、現世でのよい行いがよりよい来世を招くとされ、現世においてはダルマ(法)、アルタ(富)、カーマ(愛)を求めることが人生の三大目的。最終的には輪廻から脱する解脱を目指し、解脱は人生最高の目標とされる。”
TRANSIT
と説明されています。実はこの概念を現代の生活に大胆に持ち込み、商業化に成功したのはスティーブジョブスなんだと考えています。
輪廻転生
は、日本人にとって特に宗教的な概念というより、「そういう事あるよね」という不思議ではあるが世の中であり得る概念として定着しているが、その証拠を示せと言われても明確に証明することはできなかった。

スティーブジョブスの作った輪廻転生をモデルにしたサービス
それは、今、多くの人が当たり前に使っている”iCloud”サービスだ。人間と同じくiphoneには寿命があり、やがては死んでいく。しかし、スマートフォンには、一昔前には考えられないくらいの膨大な”記憶”を蓄えることができる、その記憶とはそのスマートフォンのユーザーが集めたアイデンティテイと言っても過言ではないものなのだ。
そんなきわめてパーソナルな記憶が、肉体の死、すなわちスマートフォンの寿命によって消し去ることができるだろうか?ここに、スティーブの信じた概念、すなわちヒンドゥー教における輪廻転生の概念をサービスにできないだろうか?と考えたのだろう。そう考えるとiCloudの概念は腑におちる。
つまり、スマートフォンの記憶をiCloudに移して、新しい肉体であるスマートフォンに戻してやることで、連続性のあるアイデンティテイの継承ができるのだ。この、人工的なモデルの輪廻転生により、より本質を突いた、集合知を得られると考えたのかもしれない。これを有償のサービスとして成立していることは、逆説的に輪廻転生の正しさを肯定しているともいえる。
アバター
この言葉も語源はヒンドゥー教の神の化身のことで、ITの分野では利用者のシステム内での「分身」を意味していた。

ジェームスキャメロンは、この名前を冠した映画を製作した。この映画では地球とは環境の違う惑星の植民のために地球人の”魂”をその惑星に最適化した生物の体に転送するという描写がある。その生物は、魂を格納するための”アバター”なのだ。
この映画でのポイント
実は私たちの肉体そのものも、スマートフォンと同じ私たちのアイデンティティを格納するだけの入れ物なのかもしれない、ということだ。そしてもしも映画のようにある一定の環境に適した場所で十分のパーソナリティを発揮するために、その入れ物を選べるのであればヒンドゥー教的思考は現代人にとって大変わかり安い。
例えていうなら、今までiphoneを使っていたが、業務の都合でandroidに乗り換えるようなものだ。移し替えるアイデンティテイは何も変わることもなく。
まとめ
インターネットが一般的に使われるようになった現在に、最新のSF映画やサービスの根底にヒンドゥー教的概念が深く影響していることは、実に興味深い。